犬と猫の肝臓病、その原因と症状・対策

犬猫の肝臓の役割、働き

2020年1月30日

著:薬剤師 岡田憲人 プロフィール
監修:獣医師 森内利郎(神戸市アルファ獣医科病院 院長)

肝臓は、犬や猫の健康を維持し、生きていくために無くてはならない臓器です。

肝臓の役割として、解毒や老廃物の処理に関わっていることがよく知られていますが、胆汁を作って消化を助けたり、エネルギーを生み出し、一部のエネルギーを蓄えたりもしています。

他にもタンパク質の合成・代謝、ホルモンの調整など、1つの臓器でありながら、多くの役割を担っており、まさに健康の要と言えるでしょう。

 

肝臓の3つの役割

肝臓は1つの臓器でありながら、実にさまざまな役割を担っています。

さらにその役割をスムーズにこなすための酵素の合成も肝臓の仕事です。

ここでは肝臓の基礎知識として、主な役割を3つに絞ってお伝えしてまいります。

 

解毒と、老廃物の代謝

肝臓の重要な役割の1つに、解毒、そして老廃物の代謝があります。

体にたまると害になるような物質は、できるだけ早く無毒化したり、体の外に排泄しなくてはなりません。

その中心的な役割を担っている臓器が肝臓です。

 

わかりやすい解毒の例えとして、人が飲むアルコールがそうです。

肝臓は酵素を使って、アルコールを最終的には水と二酸化炭素にまで分解してくれます。

 

お酒を犬や猫が飲むことはまずありませんが、体の毒になるものはいろいろあります。

たとえば病気の治療で飲む薬も、基本的には安全な範囲で使われていますが、体に蓄積しすぎてしまえば毒になってしまいます。

食事をするだけでも腸内でアンモニアが発生しますが、これも体内に入ってきて毒となります。

こうした毒を体中から回収し、解毒することが肝臓の重要な役割です。

 

毒とは少し違いますが、老廃物も体にたまりすぎると健康を損ないます。

老廃物とは、簡単に言ってしまえば体の中で作られるもので、捨てずにためておくと害になるようなものです。

食事からエネルギーを取り出したあとの絞りかすのようなものだったり、役割を終えた細胞の残骸だったりします。

これらは普通に生活していても発生するものですが、それを中心となって処理してくれるのが肝臓です。

 

胆汁の生産

胆汁(たんじゅう)を作ることも肝臓の重要な仕事です。

食事中の脂肪はエネルギーを得やすい栄養素ですが、この脂肪を消化吸収するために必要なのが胆汁です。

胆汁は界面活性剤としての性質を持っていて、水と油を混ぜる石鹸のように働きます。

 

脂肪の吸収と聞くとあまり良いイメージが湧かないかもしれません。

ですが健康のためになる必須脂肪酸や、油に溶けやすい脂溶性ビタミンなども胆汁のおかげでうまく吸収できています。

 

なお胆汁は食事のときにだけ作られるのではなく、肝臓内で常時作られています。

できあがった胆汁は胆嚢という袋状の臓器にストックされます。

そして胆嚢の中で濃縮され、食事のときに胆管を通り小腸内に分泌されるという仕組みです。

なお犬によく見られる胆泥症は、この胆汁が濃縮されすぎて出にくくなっている状態のことです。

 

胆汁のもう1つの働き

胆汁は脂肪の消化吸収としての働きと、もう1つ体の老廃物を便と一緒に捨てるという役割を併せ持っています。

赤血球の老廃物であるビリルビンは、胆汁によって排泄される代表的な老廃物で、便を黄色くさせます。

 

もし胆汁が胆管などで詰まってしまうと、行き場を失った胆汁で肝臓がいっぱいになり、ビリルビンが血液に溢れ出します。

これが黄疸と呼ばれる状態で、ビリルビンによって白目や皮膚が黄色くなってきます。

それだけではなく、ビリルビンの毒性によって体がダメージを受けてしまいます。

 

ですので肝臓でちゃんと胆汁が作られ、スムーズに腸内に分泌されるといった一連の流れが、とても大切なのです。

 

エネルギー代謝

人が生きていくためには、食べ物からエネルギーを取り出し、体で使いやすく加工処理する必要があります。

もちろん犬や猫も同様です。

 

また食べていないときにもエネルギー不足にならないように、エネルギーは蓄えておかなくてはなりません。

こうしたエネルギーの管理を担っているのが肝臓であり、エネルギー代謝の中心的存在です。

 

食べ物は、胃や腸で分解されると血液と一緒に肝臓に送られ、そこでさまざまな形に加工されています。

例えばタンパク質は一度アミノ酸に分解され、再び体に必要な形のタンパク質に再合成されます。

肝臓で作り出す重要なタンパク質の1つにアルブミンがありますが、肝臓の調子が悪くなっていると血中のアルブミン濃度が低下してくることがあります。

 

糖質は利用しやすいエネルギー源である反面、すぐに燃えてなくなってしまいます。

空腹時でも血糖値を保つ方法として脂肪として蓄えておく他に、肝臓内にグリコーゲンという形で蓄えられます。

 

食べ物の脂質(油)は、カロリーが高い栄養源で、エネルギー源として優秀です。

そのため肝臓は胆汁を分泌して、効率的に吸収しようとします。

吸収された脂質は、空腹時のエネルギー源として利用できるように蓄えられたり、細胞を構成する成分として使われたり、健康を保つためのコレステロールや中性脂肪、ホルモンなどの材料になります。

 

まとめ

肝臓の役割を3つお伝えしてまいりました。

それぞれ別の役割のようにも考えることができますが、すべて繋がっているとも考えることができます。

 

肝臓は、単に何かを作る臓器と理解するよりも、足りなそうならば作り、多ければ回収し、そして蓄えたり、古ければ分解したり、再合成に回したりと、調整役の臓器と考えると良いでしょう。

それらの仕事をスムーズに進めるために酵素が必要になってきますが、その酵素を作って管理することも肝臓の仕事です。

なお血液検査で肝機能の値として知られるGPT(ALTと同一)も、実は肝臓の酵素です。

 

こういった複雑な仕事を、24時間休むこと無くこなし、犬猫たちの健康を守っています。

私たちは普段、肝臓のことをなかなか気にすることがありませんが、それは肝臓が「沈黙の臓器」とも呼ばれるほど無口だからです。

だからこそ先回りをして気を遣ってあげるべきなのです。

それがご愛犬ご愛猫の健康、元気を保つポイントになってきます。

 

 

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