著:薬剤師 岡田憲人 プロフィール
皮膚病に悩まされていた、初診時6歳の柴犬です。
健康サポートとしてSPF100%プラセンタ配合粒を与えています。
プリント写真につき、画像が少し粗めです。
治療のおおまかな経過
初回と2回めの脱毛にステロイドを使った治療がよく反応し、治癒しました。
ところが広範囲な脱毛が発生し、ステロイドに加えさまざまな西洋薬治療を施すも状況は改善していません。
薬剤性と思われる肝障害(γ-GTPの上昇)が見られ、プレドニンは中止。
サプリメントなどで健康をバックアップするような、おだやかな治療に切り替えたところ、徐々に皮膚がよくなってきているようです。
初発時は西洋薬により治癒
2015年1月26日、首に500円玉大の脱毛が見つかりました。
セファクロム(セフェム系抗生物質)、ステロイド、抗ヒスタミンの内服薬と、塗り薬で治癒しました。
塗り薬はビルミチン(抗真菌薬)とゲンタマイシン(抗菌剤)、デキサメタゾンを病院内で混合してお渡ししました。
1年後に再発したが治癒
2016年1月30日、昨年同様の脱毛が発生。
同様の治療を施し、治癒しました。
原因は不明ですが、冬季の乾燥が一因かもしれないと疑いました。
ノミ、ダニはなく、食欲は良好でした。
広範囲の脱毛が発生し、こんどは薬が効かない
2016年3月2日、背中の複数箇所で脱毛が始まり、痒みを伴っていました。
カイセン、アカラスの検査結果は陰性。
細菌感受性の検査からアモキシシリン(ペニシリン系抗生物質)、セファレキシン(セフェム系抗生物質)、アミカシン(アミノグリコシド系抗生物質)を選択。
抗ヒスタミン剤、プレドニゾロン(ステロイド剤)に加えた治療を開始。
腸管免疫サポートのためにサプリメントおよび補中益気湯(漢方薬)を追加。
薬用シャンプーとしてヨードとアロエエキスからなる、ヨードシャンプの使用を指示しました。
2016年4月17日
脱毛に改善が見られず、SPF100%プラセンタ配合粒を追加。
2016年4月27日
痒みは少し改善したようだが発毛してきません。
プレドニゾロンを半減し、イトラコナゾール(抗真菌薬)を追加。
2016年5月13日
少しγ-GTPが上昇し、肝臓に負担がかかっていることを確認したため、プレドニゾロンは中止。
チオラ(肝臓治療薬)を追加。
2016年6月1日
イトラコナゾールを中止。
(肝臓への大きな負担となっている可能性から)
2016年6月12日
痒み、皮膚の赤みは落ち着いてきていますが、脱毛はそのままです。
2016年6月22日
全体的に少しずつ発毛し始めました。
2016年7月2日
顔面の脱毛はほぼ完全に治癒しました。
体幹部も全体的に発毛してきました。
担当した動物病院より
体調は良好で、体重は7.2kgから8.1kgに増加。
抗生剤は近日中に中止しようと考えています。
治療前から与えてもらっているベンフォチアミン、健康補助としてのサプリメントでのサポートに切り替える予定です。
ベンフォチアミンは、さまざまなメリットを期待して当院で推奨しているビタミンB1誘導体です。
SPF100%プラセンタ配合粒は、いままでは主に肝臓病治療のときに補助的な健康サポートとして使ってきました。
プラセンタ注射も使っていましたが、サプリメントでのサポートも健康のバックアップに良いように感じています。
この柴犬は途中γ-GTPが高いことがわかったので、その改善も期待するように飼い主様には伝えています。
SPF100%プラセンタ配合粒は作用メカニズムを考え、椎間板ヘルニアや皮膚病によく使用していますが、皮膚病(脱毛症)のときの健康サポートにも使えそうです。
※個人の感想です。
弊社からのコメント
原因不明の皮膚病の治療はとても難しく、治療を兼ねて複数の薬を試し、その中から反応する薬を見つけていくことになります。
薬の中でもステロイドは多くのケースで反応し、多用されていますが、肝障害を始めとする体のダメージや長期連用によってむしろ皮膚を弱くするといった難点があります。
今回も当初はステロイドが活躍しましたが、途中からの反応が悪さと肝臓へのダメージを考えて森内先生は中止を決断しています。
ステロイドに依存しない治療法が、かえって良い結果を出すことも少なくなく、今回はそのわかりやすい一例です。
アルファ獣医科病院の森内先生は、できるだけ犬猫たちに負担をかけないように治療を考えるやさしい獣医師です。
私は信頼しており、新しい治療法や病気の知識についてよく情報交換させていただく仲です。
※個人の感想です。
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