著:薬剤師 岡田憲人 プロフィール
ご愛犬の免疫アップに役立つアイデア、半手作り食のご紹介です。
がん治療の一環としてもえぎ野動物病院の院長でいらっしゃる後藤秀寛獣医師と一緒に考えた犬用の食事です。
※この記事は10年前の考え方に基づいて書いております。いまの考え方は弊社のLINEアカウントでお伝えしています。
半手作り食の良さは
- 発がんを抑える食事(ニンニクや発酵食品などなど)を与えられる
- がんのエサになる糖質を抑えやすい
- 完全手作り食よりも手間が少ない(手抜きできる)
これ以外にもまだまだたくさんのメリットがあります。(ページ後半で紹介)
まずは半手作り食はどんなものか?をレシピっぽくお伝えしようと思います。
いまは本当に犬の癌が多いので(犬の50%)、ぜひとも半手作り食にチャレンジして、ご愛犬の健康管理にお役立てください。
こちらの記事は、もえぎの動物病院の後藤先生と奥様、そしてご愛犬のメル(チワワ)+マハロ(ポメラニアン)と一緒に楽しく作成いたしました。
記事の写真も快く提供していただき感謝です!
けっこう簡単!半手作り食のレシピ
半手作り食は、いつも使っているドッグフードに、スーパーで手に入る食材をトッピングしていくだけ。
料理といえば料理ですが、手抜き料理といった感じです。(究極の手抜き料理はドッグフードかもしれませんが)
さらに小分け冷凍の合わせ技で、どんどん手間が減っていきますよ。
では、さっそく見ていきましょう。
もえぎの動物病院の全面協力にてお送りします。(後藤先生、奥様ありがとうございます!)
【レシピ1】まず完成形から
こんな感じに仕上げます。
ちょっと手の込んだタイプの半手作り食です。
奥様のこだわりで、2種類のドッグフードを使用。(1種類でもOKです)
トッピングには生食の肉、野菜、きのこなどを入れました。
基本的に半手作り食はフリースタイルですから、食材は自由に。
ぜひ冷蔵庫の余り物を上手に使ってください。
でも今回の目的は、がん予防です。
がん予防に役立つ食材を、少なくとも1つは使いましょう!
【レシピ2】用意する食材
今回のトッピング用の食材がこちら。
この量だと、たぶん10食分は作れます。(小型犬の場合)
量についてですが、小分け冷凍にするときのイメージから逆算して決めてみてください。
こんな感じです。(製氷トレーを何枚か用意しておきましょう)
野菜類は小さめに切っておくのがポイントです。
- 火を通りやすくすることで加熱時間が短縮される→栄養成分の損失が減る
- 消化吸収が良くなる(犬は野菜の消化吸収が少々苦手)
- 冷凍小分けしやすい(大きく切ると均等に分けにくい)
なので写真よりもっと細かくしても構いません。
ちなみに初めてチャレンジする方は、食材は最初からこんなにたくさん使わなくてOKです。
でもだんだん慣れてくると小分け冷凍のワザで作り置きして、毎日パパっと作れるようになります。
食材の紹介です。(下の人参から時計回りにいきます)
- 人参(がん予防成分:βカロチンなど)
- きのこ(がん予防成分:βグルカンなど)
- ブロッコリー(がん予防成分:スルフォラファンなど)
- 白菜(がん予防成分:イソチオシアネートなど)
- キャベツ(がん予防成分:イソチオシアネートなど)
- さつま芋(がん予防成分:ガングリオシドなど)
- 中央:生食(なましょく)用の肉
肉を除いて、がん予防食品のオンパレードです。
ただし、あくまで食品ですから過度に期待しませんように。
上記の食材に含まれているがん予防成分は微量です。
そのうえ残念なことに、この後の加熱調理で何割も失われてしまうでしょう。
※だから毎日続けることが大事で、毎日続けやすい半手作り食となるわけですね!
ついでに有益情報を
がん予防(がん治療でも)を考えるとき、ひとつの食品をたくさん与えるというアイデアは実はイマイチです。
良い食材を10倍与えても、メリットが10倍になるとは限りません。(食材にもよりますが、せいぜい2倍くらい?)
例えばキノコを10gから20gに増やすよりも、キノコ10g+キャベツ10gとして相乗効果を期待したほうがずっと良い考え方。
「多方向から攻める」は、体に優しいがん治療の基本ですが、がん予防も使うアイテムが異なるだけで、考え方はまったく同じです。
【レシピ3】調理する(煮るだけ)
先ほど用意した野菜を鍋にドカッと入れましたら、弱火で10分くらい煮ます。(生食用の肉は煮ません)
水の量は、野菜からも出てくる分を考えて上の写真くらい。(次の写真も参考に)
水を多くしておけば、水分補給も兼ねた「汁だくの食事」ができます。
ただしあまり水を多くすると冷凍保存するときにかさばりますので、ほどほどに。
今回は味付けをしませんが、ダシやコンソメ、味噌などをちょっと入れるのもアリです。
塩分制限したいときは、味付けせずに旨味の出やすい食材を上手に組み込んでください。
ちなみに少々の味付けでしたら、ドッグフードの塩分量より少なく抑えられると思います。
塩は天然塩のように、塩化ナトリウムばかりでなく塩化カリウムや塩化マグネシウムを含んでいると良いです。(過剰な塩分が尿から排泄されやすくなります)
こちらが10分煮込んだ後の写真です。
もう完成なのですが、こんなにたくさん一度では食べられません。
これを小分け冷凍して保存食にしてしまいましょう。
【レシピ4】小分け冷凍(毎日の手間を減らす)
煮終わったトッピング食材は、冷凍して長期保存できます。
これで毎日の調理の手間が省けます!
写真は粗熱をとり、製氷皿に小分けしたところ。
こんな感じに、具材も煮汁も一緒にして、だいたい均等に入れてみてください。
製氷皿はどんな形でも大丈夫。
もちろん四角いマス目のオーソドックスな製氷皿でも構いません。
※ただしあまりブロックが大きいと、解凍が大変かもです。
凍らせるとこんな感じになります。
まだガチガチに凍っています。
だいたい1時間くらい部屋の中に置いておけば自然解凍します。(もちろん季節によって異なります)
解凍できたら、いよいよドッグフードにトッピングです。
【レシピ5】完成(いただきます!)
解凍したトッピングとドッグフードを器に盛ったら完成です!(うーん私が食べたい・・・)
別に用意しておいた生食用の肉も乗せました。
では、実食!
いただきます^^
これが
こうなって
こうなります^^
よほど美味しいのか、見ていて笑ってしまうほどの豪快な食べっぷり。
あっという間に完食となりました。
ごちそうさまでした!(メル&マハロの声)
これを見せつけられたら、少々の手間など吹き飛んでしまいます。
そのうえ、がん予防も期待できるとは、なんて半手作り食は素晴らしいのでしょう!
ということで、以上でレシピは終了です。
もう少し半手作り食について知りたいという方は、このまま続きをどうぞ。
半手作り食の良いところを、思いつくまま紹介!
これから半手作り食の良いところをたくさん書いていきますが、その前に悪いところを簡単にお伝えしておきます。
半手作り食の悪いところ
- ドッグフードを使わなくてはならない(ドッグフードに不安を抱いている方の場合)
- ドッグフードより断然手間がかかる
ということです。
ドッグフードに安全性の問題はつきものです。
添加物や食材の品質といった不明な部分があり、どうしても心の底からは安心できません。
(人の食材なら安全というわけでもありませんが)
ですがこんなふうに考えてみてください。
「悪い部分は、良い部分で打ち消すぞ!」
さきほどの手作り食の悪いところだって考え方次第です。
「ドッグフードよりずっと健康的だし、手作り食よりずっと簡単!」
【関連記事】ペットフード選びで悩む前に、その本質を知っておこう
ご愛犬だって、食事中に飼い主が不安そうな顔をしてたら、あんまり美味しく食べられませんよね。
ぜったい自信満々の「ドヤ顔」で食事を出したほうが良いに決まっています。
そして犬の食事はドッグフードか?手作り食か?の二択問題ではないということ。
そのまんなかの半手作り食は、第三番目の立派な選択肢です。
不安は相手に伝わって免疫力を低下させますから、発がん作用。
自信や笑顔が相手に伝われば、がん予防。
ぜひとも自信満々の笑顔でチャレンジしてください!
もっと自信をつけたい方は、このまま続きをどうぞ。
【良いところ1】栄養学の心得がなくても、それほど栄養バランスが乱れない
ドッグフード50%+トッピング50%くらいの半手作り食なら、基本的な栄養素が不足してしまう心配はまずありません。
トッピングで頭を悩ませなくても、ドッグフード部分が栄養バランスを十分に補ってくれます。
よくダイエット中の犬に勧められる、ドッグフード半分+おから半分みたいな食事がありますね。
あのようなイメージです。
【良いところ2】完全手作り食に比べてかなり手間が少ない
完全手作り食の場合だと、すべての栄養素を一般食品から与えるためにそれ相当の手間がかかります。
きっちりしている飼い主様だと、カロリー計算をして、食材の成分から栄養素の配分を考え、食材の重さを量り、旬の野菜が出ると再計算・・・。(この手間を楽しんでいらっしゃる方も大勢います^^)
半手作り食でしたら手間は半分以下に、いや1/4くらいにはなります。
本当に時間がないときは、家族のおかずを取り分けてあげれば良いです。
焼き魚の身をほぐしてあげたり、野菜は生でも煮ても良いでしょう。
ベースに使っているドッグフードがだいたいの栄養バランスをとってくれていますので、トッピングには健康に役立ちそうな食材を自由に選んでください。
【良いところ3】塩分50%カットもすぐできます
塩分制限が必要なとき、普通なら新たにドッグフードを探すことになるでしょう。
でも半手作り食なら、トッピング部分の塩抜きで済みます。
ドッグフードはそのままに、塩分50%カットなんて簡単にできてしまいます。
できたら少し工夫してあげて、旨味の出る食材で美味しく食べさせましょう。
塩分制限の必要がない犬なら、コンソメ、味噌でちょっとした味付けをしてあげるとすごい喜ぶかもしれません。
犬は味覚音痴と言う説がありますが、人間の1000万倍とも言われる嗅覚できっと食事を楽しんでいます。
塩分制限について少し余談ですが、やけに人の皮膚をペロペロと舐めたり、地面を舐めたりするとき、もしかすると塩分制限が行き過ぎかもしれません。
以前、塩分ゼロの手作り食を与えていた方がいらしたので念の為に伝えておきますが、塩分を摂らずに健康を維持できる哺乳類はいません。
【良いところ4】糖質制限だって簡単です
さきほどの塩分50%カットの要領でいけば、糖質制限も簡単です。
糖質ゼロでなくて良いので、糖質10%~20%くらいの食品を選びましょう。
肉も良いですし、魚も良いです。
野菜はカボチャやジャガイモなどを避けて、葉物野菜でいきましょう。
がん予防を考えると、やはり糖質の与え過ぎはおすすめできません。
ただ糖質と言っても全部ではなく、逆に与えたほうが良い糖もありますから、むやみやたらに制限するわけではありません。(与えたいのはオリゴ糖など)
ちなみに糖質は炭水化物のひとつで、式で書くとこのような感じです。
炭水化物 = 糖質 + 食物繊維
【良いところ5】病気予防に役立つ食品を与えられる(もちろん抗がん食品も)
半手作り食を始めたら、ぜひ病気予防に役立つ食品をトッピングに使いましょう。
これこそが半手作り食の醍醐味(だいごみ)です!
オメガ3オイルを手軽に与えられる魚、抗酸化作用のある緑黄色野菜、腸内環境を改善させる発酵食品などがおすすめです。
これらはがん予防にも使える、抗がん食品です。
私のイチオシ食品はサバ缶です。(オメガ3オイルがすごいです)
あと鮭もすごくてオススメです。(抗がん食品の代表選手です)
本当は納豆パワーをみなさんにおすすめしたいのですが、口の周りについた納豆をソファで拭いてしまうワンコがいたので、いまは控えめにおすすめしています。
ヨーグルトもまずまずですが、さらなる抗がん作用を期待して豆乳ヨーグルトをおすすめします。(売ってるスーパーと売ってないスーパーがあります)
意外なところではゴボウも良いです。
もちろんニンニク、緑黄色野菜も良いです。
※個別の食材について、わかる限り直接お答えしています。
なお半手作り食ではドッグフードに対する不安は残りますので、それを打ち消すつもりでどんどんメリットの多い食品を加えていきましょう。
特にがん予防に役立つとされる食品は少量でも良いですから、毎日ちょくちょく入れてあげてください。
【良いところ6】愛犬をしばらく人に預けるときも継続できる
ご愛犬をどうしても人に預けなくてはいけないとき、トッピングを小分け冷凍しておいて、ドッグフードと一緒に渡してください。
ちょっと解凍のお手間をかけることになりますが、もしかすると「なにこれ!うちも真似したい!」となって喜んでくれるかも?(犬がいたらの話ですね)
【良いところ7】完全手作り食の入門として最適
品質で言えば、半手作り食より完全手作り食のほうが断然良いです。
とはいえ、いきなりドッグフードから完全手作り食への移行は壁が高いので、まずは半手作り食から始めてみてください。
ご愛犬の食事の好みを知り、体に合うもの合わないものを見分けるのに、ちょっと時間がかかるかもしれません。
半手作り食はトッピング部分の変更が簡単ですし、完全手作り食の入門に最適だと思います。
「慌てずゆっくり、でもすぐに始められる」のも、半手作り食の良いところです。
【良いところ8】急にドッグフードに戻すときに心配が少ない
どうしてもペットホテルに預けるとき、病院に入院するとき、完全手作り食だとちょっと悩みます。
一日くらいなら食事を持ち込むこともできますが、数日預けるとなるとドッグフードを使うことになります。
半手作り食でしたら預ける期間はトッピングがなくなるだけ。
普段使いのドッグフードだけになりますが、「食べてくれるかな?」といった心配はないでしょう。