食事・フード・栄養

犬が草をムシャムシャ食べるのは少々危険という話

2016年3月27日

先祖はヤギ

著:薬剤師 岡田憲人

ご愛犬が草をムシャムシャ食べるのみて、犬の祖先はきっとヤギとか牛みたいな草食動物なんだ!とお考えの方はいませんか?

私も紛らわしい写真を載せてしまったので、まず最初にお伝えします。

諸説ありますが、犬の祖先はオオカミなどの肉食獣だという説が有力です。

 

このページでは犬が草を食べることは正常であること、でもいくつかの危険性があること、止めさせる工夫について書いていきます。

草食系のご愛犬にも満足していただけるかなと思います。

 

 

食べたいから食べる

犬は自分の意志もしくは本能で、つまり食べたいという欲望に従って草を食べます。

我々人間はあまり好きでない食品でも健康のために食べることがありますが、犬の場合は食べたくないものは食べません。

 

ちなみに私が飼っていたワンコは、ムシャムシャというかガツガツと草を食べていました。

あれはどう考えても、草を食べたいから食べていたのでしょう。

 

おそらく犬が草を食べるのは大昔からの習性であり、犬にとって必要な行為です。

ですので、その行為自体は異常行動ではなく心配ありません。

 

犬は草を本能的に、自らの意志で、食べたいから食べています。

草を食べることで何かしらメリットを得たり、体のトラブルを解消していると考えられます。

 

 

犬の気持ちを推測

草を食べることで、犬は何を得するのでしょう?

本当は犬たちに直接インタビューしたかったのですが、それはあきらめて獣医師との話し合いから推測してみました。

 

犬は肉食寄りの雑食です。

人と異なり、里芋の煮っころがしやコールスローサラダ、豆腐やワカメを食べるような雑食ではありません。

犬は勝手に草を食べるので、むかしから雑食だと知られているのです。

 

きっと草を食べることは、犬からしてみればごく自然で当たり前なことです。

以下、犬の気持ちになって推測してみました。

 

 

1.たまらなく草が好き

草むらを見ると飛び込んでいくようなワンコは、もう本当に草の味や食感がたまらなく好きなのでしょう。

味が大好きな犬もいるでしょうし、歯についたカスや歯垢が取れる「スッキリ感」がたまらないという子もいるかもしれません。

 

この場合は、納得するまで食べるか、吐いて辛い思いをするまで食べるか、いずれにしても食べたい衝動が落ち着くまでムシャムシャ食べ続けるでしょう。

 

 

2.好きではないけど苦味が欲しい

天然植物の苦味には、胃腸の働きを改善させるものがあります。

胃酸や唾液の量を増やしたり、胃の動きを良くしたり、胆汁の出を良くしたり(利胆作用)して、食事の消化を助けます。

 

ちょっとそれますが、食事のたびに苦い胃腸薬を飲む方がいらっしゃいます。

それらの方は別に胃腸薬が好きなわけではないけれど、飲んだほうが胃腸がすっきりして調子が良くなるから飲み続けるわけです。

 

この苦味を利用した薬を苦味健胃薬といいまして、人は科学が発達する以前から薬草や生薬として健康のために取り入れてきました。

おそらく植物中のアルカロイドの作用と考えられますが、そういうことがわかっていなかった時代から経験的に人は使っていたのです。

 

犬の中にも、「草はちょっと苦いけど、食べた後はなぜか調子が良くなるんだ」とわかっている子がいると思います。

もしくはすべての犬は本能的に知っていることなのかもしれません。

 

人も犬も、気分が良くなったり、悩みが解決できるものは言われなくても継続するものです。

もしくはそう行動するように、すでにDNAにプログラミングされています。

 

犬の味方になって書きましたが、心配がないわけではありません。

もし消化器系のトラブルから苦味を欲している場合は、そのままではかわいそうです。

近いうちに動物病院で検査を受けさせることをお奨めいたします。

 

 

3.吐くために草を食べる

犬は胃の中のものを吐き出したくて草を食べるという説があります。

犬種によっては毛玉が胃に溜まりやすく、いつも吐きたい吐きたいと思っているかもしれません。

 

実際に草を食べたあとで毛玉を吐く犬がいます。

ただし毛玉を吐くために草を食べるのか、好きで草を食べたら吐き気をもよおして吐いてしまったのか、何とも言えないところです。

 

ちなみに草を食べて吐く現象のほとんどは、前述のアルカロイドなどの植物成分による作用だと思います。

その他の吐く原因として草に付着している化学物質があり、これは非常に心配です。

 

草に付着している化学物質といえば、農薬、除草剤、殺虫剤です。

これらの毒性は半端ではなく、ご愛犬の肝臓や神経がやられます。

 

どのような理由にしても、犬が吐くというときはトラブルのサインだとお考えください。

毛玉を吐いてスッキリして終わりならよいですが、いつまでも吐き気がおさまらないときは動物病院で肝機能検査を受けさせましょう。

 

とりあえずは簡単でストレスの少ない血液検査で良いです。

大事に至る肝臓障害は、GPTやビリルビンの値からだいたいわかります。

 

参考記事

GPT(=ALT)が高くなる病気

 

 

4.ビタミンやミネラル、その他が欲しい

人と同じように、犬にもビタミンやミネラルは必要です。

もちろんドッグフードに添加されていますが、それで十分とは言いがたいのです。

 

十分ではないというのは、量というよりも種類の不足です。

たとえばミネラルで言いますと、クロム、マンガン、セレン、モリブデン、コバルトなどの有毒と思われている重金属類でも、実は微量ながら生き物に必須のミネラルなのです。

 

それらをカバーできていないドッグフードを与えているとき、犬は自然の植物から得ようとするのかもしれません。

またドッグフードの性能と関係なく、大昔から犬は草を食べてそれらを補給していたと思います。

 

 

5.食物繊維がほしい

食物繊維が第六の栄養素と言われて久しいですが、もちろん犬にも食物繊維は必要です。

食物繊維が腸内環境を改善させるためです。

 

腸内環境の良し悪しというのは、おおよそ腸内細菌バランスの良し悪しです。

そして腸内細菌の状態は、健康を大きく左右するほど重要です。

 

犬は昔から草を食物繊維の供給源にしていたはずです。

いまはドッグフードにも繊維が入っていますが、あまり良質の食物繊維とは思えません。

 

 

6.飼い主さんの気を引きたい?

飼い主様を喜ばせるために草を無理やり食べているという説を何処かで見たことがあります。

希なケースかなと思いますが、ご愛犬の目線や表情を観察していればわかることでしょう。

 

 

草を食べるのは危険?

犬が草を食べるのは昔からの習性だと私は思っていますが、今の時代は止めさせたほうが良いと思います。

なぜならば、いくつかの心配があるからです。

  • 除草剤などの農薬の心配(とくに田んぼや果樹園の近隣)
  • 殺虫剤の心配(とくに都市部の公園や原っぱ)
  • 寄生虫の心配(他のペットや自然動物の糞から)

殺虫剤に関してですが、例のデング熱の騒動から危険性が増していると思います。

代々木公園は殺虫剤散布のニュースで知られていますが、他の公園も気をつけてください。

 

私の見極め方法なので参考程度にしてほしいのですが、バッタや蝶などの昆虫を見かけない公園、小鳥のさえずりが聞こえない公園は殺虫剤散布に要注意です。

よくわからないときは自治体に確認してみましょう。

 

私が特に化学物質を心配するのは、肝臓が破壊されるためです。

肝機能が悪化し、じわじわと他の臓器にも負担がかかり、健康寿命が短縮します。

 

もし調子がおかしいときは、まず動物病院で血液検査を受けてみてください。

肝臓の様子は血液検査でおおよそわかります。

 

治療となったときは、一般的には薬を与えるだけです。

あまり副作用のない薬ばかりなので、安全に試すことが出来るでしょう。

 

お時間のある方は、こちらのページをご参照ください。

犬猫の肝臓病の薬-ウルソ、スパカールなどを解説

 

 

 

草を食べさせない工夫

散歩道を変更しなくても、リードをぐいぐい引っ張らなくても、もしかするとちょっとした工夫で草を食べなくなるかもしれません。

ご愛犬にストレスをかけず、むしろ満足させる工夫を紹介いたします。

 

試していただきたいのは、草の代わりに野菜を与えてみることです。

散歩の前に白菜や大根、人参あたりを与えてみてください。

 

この方法で草への執着心がなくなるようなら、ぜひ野菜をスティック状に切って冷蔵庫にストックしておきましょう。

もしご愛犬が歯についたカスや歯垢が気になって草を食べていたり、胃のスッキリ感を求めていたのであれば効果があると思います。

 

ビタミンやミネラル不足、食物繊維不足などを何となく感じていた犬に対しても、じわじわと効果を得られるかもしれません。

ブロッコリーや小松菜など、手作り食で使われる野菜なら問題ありません。

 

ただし長ネギやタマネギは犬の健康を損なうことがありますので避けましょう。

またイモ類や米類、豆類だと草の代わりにはならないかもしれません。

 

それと獣医師から聞くところによれば、パンやおかし、ジャーキー類を与えてる犬は草を食べる傾向があるとのこと。

たしかにそれらがビタミンやミネラルを消費、排泄させている可能性もあります。

 

とりあえず止めてみて、野菜スティックです。

与えてみるとわかりますが、けっこう喜んで食べますよ!

 

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こちらでは肝臓の代表的な検査値であるALT(GPT)とALPについて、動物病院から提供していただいたデータを基にグラフ化しております。

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