著:薬剤師 岡田憲人 プロフィール
ご愛犬、ご愛猫の肝臓を心配しているとき、プラセンタを与えてみる価値があります。
プラセンタに期待される細胞の活性化は、体全体の健康管理のみならず、健康増進に良い影響を与えると考えられていますが、ここでは肝臓の健康を中心に紹介してまいります。
プラセンタとは胎盤の意味ですが、ここでは胎盤を濃縮して得られる高品質の抽出物のこととして説明いたします。
医薬品として注射薬があるのと、サプリメントとしてプラセンタを含む製剤があります。
弊社では通院によるストレスや負担を考えて、サプリメントから開始することをお奨めしています。(ただし高品質のプラセンタが望ましい)
肝臓サポートに期待されるプラセンタ
一般に肝臓病と言われるなかには、肝炎、脂肪肝、肝硬変などの病気が含まれます。
いずれも血液検査で、GPT(ALTと同一)、ALP(ALKPと同一)が高い値を示すことが多く、肝臓に障害が起こっていることが考えられます。
そういったときに、プラセンタを動物に与えていると、状況が良くなるケースがあります。
薬としてのプラセンタ注射薬もありますが、ここではサプリメントとしてプラセンタを与えた一例を紹介いたします。
肝機能の順調な改善が見られた一例
アルファ獣医科病院(神戸市)の症例紹介です。
推定4歳の犬。
GPTおよびALPが非常に高い値を示しており、肝臓に障害が起こっていることが予想された。
少し前からステロイドを使っていたこともGPTを高くする原因になっていた可能性がある。
治療薬として、ウルソデオキシコール酸、チオプロニン、ビタミン合剤、漢方薬を使用して、ステロイドも中止したがGPTは560から887へと上昇。
ALPは1500以上のままだった。
そうした状況でプラセンタを追加。
比較的短期間のうちにグラフのような順調な改善が見られ、28日後にはGPTおよびALPとも正常値になった。
GPTの変化の様子
プラセンタ追加の7日後からGPTに良い変化が見られ、28日後には正常値になった。
ALPの変化の様子
しばらく1500以上だったALPだが、プラセンタ追加の7日後から大きな変化が見られ、28日後には正常範囲に収まった。
弊社のコメント
薬によって肝障害が発生することがあります。とくにステロイド投与をきっかけに肝臓を悪くするケースは少なくありません。通常はステロイドを中断すると徐々に改善するのですが、このケースではむしろGPTが悪化していて、肝臓の状況は良くなっていないようです。肝臓の治療薬もあまり反応が見られていません。
こうした状況であってもプラセンタを追加してみる価値は十分にあると考えます。この症例では短期間のうちに良い変化が見られました。飼い主様の不安が軽減してくれていましたら、私たちもとても嬉しいです。
お時間のある方は、こちらもご参照ください。
動物病院での研究データ
弊社とパートナー関係にある佐々木動物病院(長野県飯田市)では、肝機能値に異常が見られる犬猫たちの健康サポートとして、積極的にプラセンタのサプリメントを与えています。
研究データをまとめると、次のような割合で好ましい結果が見られました。
- GPT(ALT)が高かった動物に対して、良い影響が見られていた割合は73%
- ALP(ALKP)が高かった動物に対して、良い影響が見られていた割合60%
肝臓病など、肝臓の不調や障害が考えられる動物を対象としています。
なかには薬による治療を続けていても、あまり改善が見られていなかった動物もいますが、プラセンタを追加してから状況が良くなってくるケースがあります。
佐々木院長のコメントによると、「肝臓病の治療薬はいくつかあるが、実際の改善率はどれも良好とは言い難い。」とのことであり、プラセンタを治療時のベースとして加えておくと良い結果が得られやすいと考えていらっしゃいます。
薬を何ヶ月も与えているにも関わらずなかなか改善に至らない犬や猫には、健康サポートとしてプラセンタを加えてみる価値があるでしょう。
プラセンタを使いながら、薬の総量を減らすことが可能となれば、それはとても望ましい結果と言えます。
もちろん最初からプラセンタ単独でお与えいただくことも可能です。
薬に副作用が伴うことを考えれば、余裕のあるときは安全性の高い方法から試しておくべきです。
研究では1ヶ月程度で良い反応が見られる動物がいますが、少し余裕を持って1~3ヶ月くらいで判断していくことをお奨めいたします。
人でも活用されるプラセンタ
プラセンタは人の肝臓病の治療に用いられています。
プラセンタによる肝機能の回復、肝細胞の活性化が期待できるためです。
また他の用途として、胃潰瘍や自己免疫疾患やアレルギー、疲労回復に応用されることがあります。
神経症状、自律神経の調整、目や耳の不調、胃潰瘍、関節痛など、かなり広い応用範囲を持つとされています。
女性の美容やアンチエイジング、更年期症状のために利用されるケースも、かなり多いでしょう。
男性の発毛サポートも期待されているところです。
つまり「プラセンタによる細胞活性化の期待は肝臓にとどまらない」と言うことができると思います。
病院で投与されるのは注射薬がほとんどです。
注射薬の場合は、人の胎盤から得られたプラセンタを原料としています。
この注射のプラセンタを犬猫たちに使用する動物病院もあります。
獣医師たちから教えてもらっている範囲ではありますが、やはり動物に使用しても良い結果が得られやすいとのことです。
弊社では、犬猫たちの健康管理として国産豚の胎盤から得られたサプリメント製剤をお奨めしています。
国産のなかでもSPF豚の使用率を100%に高めたプラセンタは、実際のデータからも健康に良い影響が見られています。
胎盤に含まれる健康成分
サプリメントを含むプラセンタ製剤のもととなる胎盤には、次のような成分が含まれていると考えられます。
- 肝細胞増殖因子(肝細胞の再生に関与)
- 神経細胞増殖因子(神経細胞の増殖に関与)
- 上皮細胞増殖因子(皮膚や消化管の細胞増殖に関与)
- 線維芽細胞増殖因子(線維芽細胞、血管内皮細胞増殖に関与)
- インスリン様成長因子(肝細胞、その他の臓器細胞の増殖に関与)
- その他サイトカイン
その他にも各種のアミノ酸、ビタミンやミネラルが胎盤に含まれており、それらの複合的なメリットがプラセンタの良さに繋がっている可能性があります。
一般的な薬が、単一成分もしくは数種類の合剤であるのに対して、胎盤に由来するプラセンタはだいぶ異なるメカニズムを有すると考えられます。
細胞活力への良い影響を期待できることから、徐々に細胞の活力が落ちてくる老犬、老猫にプラセンタは適しているでしょう。
皮膚や脱毛の変化(肝臓以外の健康メリット)
プラセンタに期待される健康メリットは、胎盤成分が多種であることから推測するに多岐にわたると考えられます。
肝臓以外の一例として、皮膚および脱毛の改善例をご紹介します。
柴犬6歳。去勢済みオス。写真は改善後の元気な様子。
広い範囲の脱毛を伴う皮膚炎が発生。痒みがある。以前にも脱毛の治療歴がある。
抗生物質(アモキシシリン、セファレキシン、アミカシン)、抗真菌剤(イトラコナゾール)、抗ヒスタミン剤、プレドニゾロン、漢方薬、腸内環境改善サプリメント、外用塗布剤を使用したが、なかなか改善が見られていない。
そのためサプリメントとしてプラセンタ内服を追加。ただし1ヶ月経過の時点ではあまり変化はなかった。
プラセンタを追加して2ヶ月ほど経過したところで、体幹部の全体に発毛が見られるようになる。全身状況も改善傾向。7.2kgだった体重は8.1kgに増加。抗生物質の休薬を検討できるようになった。
弊社のコメント
プラセンタによる健康面の良い影響として、細胞増殖の活性化が考えられています。ターンオーバー周期が比較的早い皮膚の細胞は、やはり再生の盛んな肝細胞と並んで、プラセンタの恩恵を受けやすい場所だと思われます。痒みがある皮膚炎では、掻いたり、こすりつけるなどで余計に悪化してしまうことがありますが、そこには精神的なストレスなども複雑に絡んでくると考えられます。
薬だけの治療で上手く行かないとき、複数の要因へのアプローチを期待してプラセンタを与えてみるのは良い一手になりえるでしょう。実際にこの柴犬さんは健康状態を回復させることができました。痒みが落ち着き、おそらく精神的な健康度も高まったことでしょう。本人が喜んでくれていれば、私たちも本当に嬉しく思います。
高品質プラセンタを推奨する理由
弊社では、犬猫の健康管理にプラセンタをお奨めしていますが、プラセンタは品質が重要です。
それはプラセンタが、胎盤という生き物の臓器に由来するものだからです。
人用の注射薬は、人の胎盤から安全に作られていますが、サプリメントとして供給される原料にはさまざまなものがあります。
できる限り高品質のプラセンタが良いでしょう。
弊社メディネクスでは安全性も性能の一部と考えているため、衛生的な国産の豚、そのなかでもSPF豚由来のプラセンタに注目しています。
また解毒の働きを担う肝臓への健康メリットを考えるとき、添加物についてもできるだけ抑えたものが良いでしょう。
粒状タイプをお奨めしています。
プラセンタの良さを高める健康成分
プラセンタとの相性の良い成分に亜鉛ミネラルがあります。
亜鉛は肝臓の働きに重要なミネラルであるため、併せて摂取すると良いでしょう。
弊社では、さらにカキ肉エキスを組み合わせることをお奨めしています。