犬と猫の肝臓病、その原因と症状・対策 食事・フード・栄養

ALPが高いとき、食事に納豆をトッピングしてみる意味とは?

2019年5月11日

ひきわり納豆

著:薬剤師 岡田憲人 プロフィール

血液検査でALPが高めの犬猫たちがいます。(ALPはALKPとも書かれます)

ALPが高くなってしまう理由はさまざまなのですが、一番に考えられることは胆管や胆のうの炎症です。

 

そのような子たちに、よく私がアドバイスしているのは「納豆」のトッピングです。

納豆と聞いて驚かれる飼い主様もいらっしゃいますけれど、すでに与えている飼い主様も意外といらっしゃいます。

 

もちろん納豆ですべての胆管炎や胆嚢炎が解決するとは言いませんが、手軽に効果が期待でき、しかも安全な方法と言えます。

実際に与えてもらってずいぶんと改善した子もいる、おすすめの食材です。

 

他の検査値にあまり異常が見られず、ALPだけが高いのであればあまり心配しないで良いと言われることもありますが、ALPが1000を超えるような異常な高さだったり、毎回ALPが上昇していくようなときは、早めに手を打ったほうが良いかもしれません。

治療法として利胆剤や抗菌剤などの薬があるのですが、それだけではうまくいかないケースも多々あります。

食事の工夫は安全性が高く、自宅でできるうえに、たいていは治療に併せることも可能です。

 

 

ALP改善に納豆が役立つ考えられる理由

納豆は健康長寿の食材として、日本を代表する発酵食として知られた食材です。

期待される多くの健康メリットのうち、腸内環境への作用がALP改善につながる可能性があります。

 

ALPが高くなる原因の1つは胆管のトラブルなのですが、その胆管は腸に繋がっています。

胆管に腸内細菌が侵入してしまうことで、感染による炎症が起こることがあるのです。

ちなみに何らかの理由で胆汁の流れが悪くなっているときは、感染のリスクが高いと考えられます。

 

腸内細菌には善玉菌と悪玉菌、それに日和見菌(ひよりみきん)がいて、そのバランスが良いことを「腸内環境が良い」と言います。

もちろん善玉菌が多く、悪玉菌が少ない状態が好ましい状態です。

これは人でも犬でも猫でも同じだと考えていただいて構いません。

 

善玉菌を増やしやすい代表的な食材に「納豆」が挙げられます。

ALPが高いときに試してみる、意味のある食材と考えております。

ひきわり納豆が良い

納豆を与えるのでしたら、ひきわり納豆をおすすめしています。

ひきわり納豆のほうが性能が高いと考えているためです。

 

ひきわり納豆と通常の粒納豆は製造方法が違うようで、発酵の進み方に差があるのでしょう。

実際に栄養成分にも多少の差が出るようです。

消化吸収のことも考えて、よろしければひきわり納豆でまいりましょう。

 

スーパーで入手できる、3個パック100円のもので大丈夫です。

よく質問で、納豆は混ぜたほうが良い?と聞かれますが、とくに性能は変わりませんから混ぜずにそのままでも問題ありません。

ただし混ぜたほうが味が良くなって、より喜んでくれるかもしれませんね!

与える量の目安

納豆は主食としてではなく、あくまでトッピングとしましょう。

与える量の目安ですが、体重5kgでしたら、1日5gくらいから始めるのが良いと思います。

ティースプーン1杯くらいでしょうか。

体重10kgなら10gです。

 

その程度の量であれば、デメリットなどはまず心配ないでしょう。

もっと与えたい場合は、いちおう上記量の3倍くらいまでにしましょうとお伝えしています。

 

いきなりたくさん与えると、便がゆるくなるかもしれません。

そのあたりは体質だとも言えます。

体調や便の様子、目の輝きなどをチェックしながら続けてあげてください。

 

ちなみに私の犬は納豆に目がなくて、体重3kgでしたが、1パック(45gくらい)食べることもありました。

うちの犬の場合はそのくらいでも大丈夫だったみたいです。

納豆を食べてくれないときは、少しだけ味付け

犬猫にも納豆が良いことを知っているのに、どうしても食べてくれないと諦めてしまう方がいらっしゃいます。

たしかに飼い主様たちとお話していても、好んでくれる子と、あまり食べてくれない子がいます。

犬よりも猫のほうが初めての食材に警戒心があるようで、食べてくれない子が多いです。

そのようなとき、すぐにダメだとあきらめないで、少しだけ味付けを考えてみましょう。

 

たとえばゴマ油を一滴だけたらしてみてください。

一滴だけで健康に影響を与えるようなことはほとんど考えられません。

あとは鰹節やすりごま、めんつゆや付属の納豆のタレも、ほんの少しならばまず大丈夫でしょう。

 

ちなみに犬や猫たちは、私たち人間以上に鼻がききますから、味と同じくらい匂いも大切です。

逆に彩りはあまり気にしなくて大丈夫です。

 

濃い味に慣れさせてしまうのは、あまり感心しません。

健康面の心配もありますが、グルメになって食事の選り好みにつながってしまうこともあります。

フードを喜ばなくなるなど、のちのち苦労してしまかもしれませんので、くれぐれも薄めでお願いします。

他の食材でも代用できる?

結論から言いますと、ひきわり納豆ほど腸内環境に対して優れた食材は、なかなかないだろうと考えています。

トッピングとして安全性も高いのでALPの心配時に試すならば、まずはひきわり納豆が良いでしょう。

 

そのうえで、どうしても納豆が難しいのでしたら、同じ発酵食品である豆乳ヨーグルトはいかがでしょう。

効果でいうと少し下がるかなと考えていますが、それよりも美味しいこと、喜んでくれること、続けられることのほうが大切です。

 

じわじわ体質が改善してくるイメージを持っていただき、三日坊主で終わらないように工夫してみてください。

なお納豆菌が入っているだけ、乳酸菌が入っているだけのサプリメントでは、発酵食品としての健康メリットは得られないのですが、結果として良い効果が得られるのであればもちろんOKです。

 

乾燥納豆を与えている飼い主様もいらっしゃいます。

生よりもパワーが劣るかもしれませんが代替品として使えると思います。

 

美味しく食べさせてあげることは本当に大切だと思いますし、「喜び」は犬猫たちのメンタル面から健康に良い影響を与えます。

ですので、食事の工夫、食材のチョイスは、私たち飼い主の腕の見せ所ですね。

 

トッピングはもちろん、完全手作り食をしている飼い主様も世の中にはたくさんいらっしゃいますので、ドッグフードやキャットフード以外はNGだと決めつけないほうが良いと思います。

あとコツとしては、どのようなフードでも、食材でもそうですが、最初は少なめから与えてみて体調を観察しながら量をコントロールしてあげてください。

きっとうまくいきます。

 

何かひとりで悩んでることなどがあれば、相談していただいても大丈夫です。

大切なパートナーのためにぜひいろいろ工夫してあげて、飼い主自身も楽しんでまいりましょう!

 

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