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犬や猫のGPTが高い原因、疑われる病気

岡田憲人この記事を書いたのは岡田憲人(薬剤師)
プロフィール

dog05著:薬剤師 岡田憲人

血液検査でGPTが高いとき、ご愛犬やご愛猫の肝臓はかなり疲れているかもしれません。

薬が合わなかったのかもしれませんし、何か良くないものを口にしてしまったのかもしれません。

 

ただGPTが上昇したということは、何らかの理由で肝臓が障害を受けていることを示します。

早めに原因を見つけて取り除く必要があります。

 

もし病気が原因なのでしたら適切な治療を受けましょう。

治療が功を奏していないのでしたらセカンドオピニオンで別の獣医師の意見を聞いたり、栄養を考えた食事も考えていきましょう。

 

肝臓の異常は放置していると徐々に悪化して治りにくくなるため、早めに対策したほうが良いでしょう。

GPTの簡単な説明

GPTとはグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼの頭文字を取った略称です。

肝臓に多く含まれる物質で、犬猫たちが体内でアミノ酸を合成するときに活躍する酵素です。

 

最近はGPTではなくALTと言われることが多くなりました。

GPTとALTと同じ物質のことを指しています。

 

ちなみにALTはアラニンアミノ基転移酵素(アラニンアミノトランスフェラーゼ)の略称です。

このページではGPTに統一してお話します。

検査表にALTと記載されている方はGPTとお読み替えください。

 

 

どのようなときにGPTは高くなるのか

もともとGPTは血液中にはあまり存在しません。

GPTは肝臓に多く含まれています。

 

何かしらの理由で肝臓が障害され、血液中にGPTが漏れ出したときに、GPT値が高くなるのです。

そして肝臓の受ける障害が強いほどGPTは高くなる傾向があります。

 

一般的に犬猫のGPTは60U/L以下が正常とされていますが、肝臓の悪い犬猫は結構多く、100U/Lを超えるケースはそう珍しくありません。

さすがに1000U/Lを超える犬猫は多くはありません。

そこまで高い場合は、体内で何か重大なトラブルが起こっていると考えられます。

 

 

GPTが高くなる病気

GPTが高いとき、もっとも疑わしい病気は肝臓病です。

肝臓の炎症が肝臓自体を壊してしまい、GPTが血液中に漏れ出します。

 

以下にGPTが高くなる代表的な病気をあげていますが、これ以外にもGPTを上昇させる病気はあります。

そしてGPTの上がりやすさには犬猫の個体差があり、病気であってもGPTが低いケースは多々あります。

いろいろなケースがありますから、病名や数値はあくまで参考としてお考えください。

 

 

GPTが60~100U/Lで推移

肝臓がじわじわとダメージを受け続けていることが推測できます。

慢性肝炎を起こしている可能性があります。

慢性肝炎の場合、重症化してもGPTはそれほど上昇しません。

軽度なのか重度なのかは他の検査値やエコーなどの画像検査、および体調変化から総合的に判断する必要があります。

 

 

慢性肝炎

毎回GPTが60~100U/Lで推移しているとき慢性肝炎が疑われます。

原因の追求は簡単ではありませんが、まず毎日のフードやおやつは見なおしたほうが良いでしょう。

もし治療を受けているなら、その治療はあまり功を奏していないかもしれません。

 

 

脂肪肝

脂肪肝は肝臓に脂肪が沈着してしまっている状況です。

幾つかの原因が考えられますが、慢性肝炎の延長にあるとき、肝臓の機能が衰えて、脂肪の代謝がうまくできなくなっています。

GPTが急に上がるわけではなく、やはり60~100U/L程度で推移します。

 

脂肪肝は肥満が原因になることがあり、むしろこちらの原因のほうが多いでしょう。

この場合は肝臓病ではありませんが、GPTの上昇が見られことがあります。

たいていは必要以上の食べ過ぎが原因で、食事制限と運動で改善してしまいます。

なお人の場合の脂肪肝は、お酒の量と強い関わりがあります。

 

 

肝硬変

肝硬変は慢性肝炎がさらに進行した状態で、肝臓に繊維が沈着して固くなってきます。

ダメージを受けて死んでしまった肝臓細胞の代わりにコラーゲン繊維が入り込んで増殖しています。

肝臓の働きは極度に低下しますが、GPTは100U/L程度に収まることもよくあります。

 

肝硬変の詳細はこちらのページです。

肝硬変の原因と治療法

 

 

GPTが100~数千U/L

肝臓がひどく傷めつけられていることを示唆しています。

慢性肝炎よりも肝臓の細胞が破壊されるスピードが速く、GPTがどんどん血中に漏れ出していると推測できます。

 

急激にGPTが上昇したのでしたら、たいてい直近に何か原因があります。

もし原因がわかれば、必ず獣医師に伝えてください。

より適切な治療を受けることができます。

 

 

薬剤性肝障害

薬の副作用による肝障害のことです。

薬物治療が原因で肝臓が障害を受けるとき、GOTが一気に100U/Lを超えることがあります。

 

肝障害の副作用が知られている薬はもちろんですが、比較的安全だと思われている薬でも起こる可能性があります。

初めて与えた薬の副作用の場合もありますし、何度か与えたことのある薬で発生することもあります。

 

なかには抗がん剤など、確実にGOTが上昇するとわかっている薬もあります。

犬や猫の個体差や、そのときの体調、他の薬との相互作用まで考えると、薬を与えている限りはいつでも起こりえることです。

人の風邪薬や鎮痛剤を誤飲して発生するケースもありますので、保管にお気をつけ下さい。

 

 

化学薬品による薬剤性肝障害

有害物質の誤飲がしばしば肝臓障害を発生させます。

農薬や殺虫剤などの毒性の強い化学薬品は、量にもよりますが肝臓を一気に破壊して急性肝炎、急性肝不全を引き起こす可能性があります。

参考ページ:犬猫を襲う農薬!発がんの原因とする説

 

洗剤や漂白剤、肥料、重金属が原因になることもあります。

家の中にはたくさんの化学薬品があります。

 

私たちはけして口にしてはいけないと知っていても、犬猫たちにはわかりません。

特に留守中にいたずらすることがないよう、保管には十分注意してください。

 

相談を聞いているとアスファルトを舐める犬がけっこういることがわかりました。

アスファルトはかなりの有害物質ですのですぐに対処しましょう。

参考ページ:【原因と対策】犬が散歩中にアスファルトを舐めるのですが

 

 

肝臓がん

小さな肝臓がんではあまりGPTの変化は見られませんが、大きくなり肝臓を侵し始めるとGPTが異常に高くなることがあります。

 

肝臓がんについてはこちらをご参照ください

肝臓がんの症状、そして検査と治療法

 

 

犬伝染性肝炎

犬伝染性肝炎というアデノウイルスによって引き起こされる肝炎があります。

成犬ではあまり見かける病気ではありませんが、子犬に発症すると肝臓が急速に破壊されることがあります。

 

 

胆のう、胆管の病気

胆のうや胆管に発生する病気は、しばしばGPTを上昇させます。

具体的には、胆のう炎、胆石、胆泥症、胆のうがん、胆管がんといった病気です。

胆管が塞がれて胆汁が逆流し始めると、GPTはどんどん高くなってきます。

 

 

猫伝染性腹膜炎(FIP)

FIPウイルスにより引き起こされる猫の病気です。

命に関わる危険な病気で、短期間の内にいくつもの検査値が異常となります。

GPTも上昇します。

 

 

事故による打撲

事故などで腹部を打ちつけたとき、肝臓が傷ついてしまうことがあります。

そのようなときにもGPTが一時的に高くなることがあります。

 

怪我は心配ですが、肝臓の傷は自己修復力により癒えてきます。

それとともにGPTも下がってくるでしょう。

 

GPTが高いときに、どうするべきか

GPTが高いからと言って、必ずしも健康や命にかかわるわけではありません。
ですのであまり心配になりすぎないでほしいと思います。

とは言いましてもGPTが高いということは肝臓がダメージを受けていることを示しています。
油断しすぎず、対策を講じましょう。

対策をする場合は、早めの対策ほど功を奏しやすいと言えます。
薬を飲んでいるけれど改善しないという状況が何ヶ月も続いているとき、新たな手を打っていったほうが良いと思われます。

GPTの異常を放置したときのよくないシナリオ

肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれており、病気が進行してもなかなか症状を現しません。
逆に言えば、症状が出てきたときの肝臓は相当に深刻な状況になっています。

初期の肝炎も、放置していると徐々に重症化してしまうことがあり、脂肪肝や肝硬変に移行していくことも考えられます。
GPTのみならず、ビリルビン(T-BILL)やアンモニア(NH4)までもが上昇してきてしまうと、とたんに元気や食欲が喪失してきます。

そうなってからの治療は厳しく、場合によっては打つ手がなくなってしまうこともあるのです。

肝臓を改善させるためのコツ

肝臓が悲鳴をあげる前に、その状況を教えてくれるのがGPTという数値です。

早い段階での治療は反応しやすいですから、GPTの数値をバロメーターにして肝臓の状態を把握してあげましょう。

なお肝臓の不調の原因は、たいていは1つきりではありません。
ほとんどのケースで複数の要因が複雑に絡み合っていると考えたほうが良く、対処法も1つだけでは足りないでしょう。

実際に薬だけに頼ったときなかなか結果が伴いにくいのは、このような理由があるためです。

 

肝臓を改善させるときのコツは、複数の取り組みを同時に実施することです。

薬を使うのは構いませんが、それだけでは弱いと考えて、食事の見直しも当然組み合わせてほしいと思います。
良い組み合わせは、単なる足し算ではなく、それぞれが相乗的にメリットを引き出すでしょう。

血液検査の心配から開放されて、ご愛犬ご愛猫との暮らしを心から楽しむためには、問題は先送りにしないほうが良いかもしれません。

そしてもし早めに対策していくなら、安全なものを選んでいくことも大切です。
安全であれば、薬と併用することもできますし、いま体調が悪かったとしても体への負担を考えずに開始できます。

 

 

 

 




 


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公開日:2016年3月13日

更新日:2018年8月3日