犬と猫の肝臓病、その原因と症状・対策

犬や猫のGPTが高い原因、疑われる病気

2016年3月13日

著:薬剤師 岡田憲人 プロフィール
監修:獣医師 森内利郎(神戸市アルファ獣医科病院 院長)

血液検査でGPTが高いとき、ご愛犬やご愛猫の肝臓はかなり疲れているかもしれません。

薬が合わなかったのかもしれませんし、何か良くないものを口にしてしまったのかもしれません。

 

ただGPTが上昇したということは、何らかの理由で肝臓が障害を受けていることを示します。

早めに原因を見つけて取り除く必要があります。

 

もし病気が原因なのでしたら適切な治療を受けましょう。

治療が功を奏していないのでしたらセカンドオピニオンで別の獣医師の意見を聞いたり、栄養を考えた食事も考えていきましょう。

 

肝臓の異常は放置していると徐々に悪化して治りにくくなるケースもあるため、早めに対策したほうが良いでしょう。

対策というのは薬だけではなく日常の工夫が功を奏することもあります。

 

GPTの改善例はこちら

実際の改善例をまとめています。お時間のあるかたは併せてご覧ください。
弊社SPF100%プラセンタ配合粒による改善例

 

GPTの簡単な説明

GPTとはグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼの頭文字を取った略称です。

肝臓に多く含まれる物質で、犬猫たちが体内でアミノ酸を合成するときに活躍する酵素です。

 

最近はGPTではなくALTと言われることが多くなりました。

GPTとALTと同じ物質のことを指しています。

 

ちなみにALTはアラニンアミノ基転移酵素(アラニンアミノトランスフェラーゼ)の略称です。

このページではGPTに統一してお話します。

検査表にALTと記載されている方はGPTとお読み替えください。

 

 

どのようなときにGPTは高くなるのか

もともとGPTは血液中にはあまり存在しません。

GPTは肝臓に多く含まれています。

 

何かしらの理由で肝臓が障害され、血液中にGPTが漏れ出したときに、GPT値が高くなるのです。

そして肝臓の受ける障害が強いほどGPTは高くなる傾向があります。

 

一般的に犬猫のGPTは60U/L以下が正常とされていますが、肝臓の悪い犬猫は結構多く、100U/Lを超えるケースはそう珍しくありません。

さすがに1000U/Lを超える犬猫は多くはありません。

そこまで高い場合は、体内で何か重大なトラブルが起こっていると考えられます。

 

 

GPTが高くなる病気

GPTが高いとき、もっとも疑わしい病気は肝臓病です。

肝臓の炎症が肝臓自体を壊してしまい、GPTが血液中に漏れ出します。

 

以下にGPTが高くなる代表的な病気をあげていますが、これ以外にもGPTを上昇させる病気はあります。

そしてGPTの上がりやすさには犬猫の個体差があり、病気であってもGPTが低いケースは多々あります。

いろいろなケースがありますから、病名や数値はあくまで参考としてお考えください。

 

 

GPTが60~100U/Lで推移

肝臓がじわじわとダメージを受け続けていることが推測できます。

慢性肝炎を起こしている可能性があります。

慢性肝炎の場合、重症化してもGPTがそれほど上昇しないこともあるでしょう。

軽度なのか重度なのかは他の検査値やエコーなどの画像検査、および体調変化から総合的に判断する必要があります。

 

 

慢性肝炎

毎回GPTが60~100U/Lで推移しているとき慢性肝炎が疑われます。

原因の追求は簡単ではありませんが、まず毎日のフードやおやつは見なおしたほうが良いでしょう。

もし治療を受けているなら、その治療はあまり功を奏していないかもしれません。

 

 

脂肪肝

脂肪肝は肝臓に脂肪が沈着してしまっている状況です。

幾つかの原因が考えられますが、慢性肝炎の延長にあるとき、肝臓の機能が衰えて、脂肪の代謝がうまくできなくなっています。

GPTが急に上がるわけではなく、やはり60~100U/L程度で推移します。

 

脂肪肝は肥満が原因になることがあり、むしろこちらの原因のほうが多いでしょう。

この場合は肝臓病ではありませんが、GPTの上昇が見られことがあります。

たいていは必要以上の食べ過ぎが原因で、食事制限と運動で改善してしまいます。

なお人の場合の脂肪肝は、お酒の量と強い関わりがあります。

 

 

肝硬変

肝硬変は慢性肝炎がさらに進行した状態で、肝臓に繊維が沈着して固くなってきます。

ダメージを受けて死んでしまった肝臓細胞の代わりにコラーゲン繊維が入り込んで増殖しています。

肝臓の働きは極度に低下しますが、GPTは100U/L程度に収まることもよくあります。

肝硬変についての解説

 

GPTが100~数千U/L

肝臓がひどく傷めつけられていることを示唆しています。

慢性肝炎よりも肝臓の細胞が破壊されるスピードが速く、GPTがどんどん血中に漏れ出していると推測できます。

 

急激にGPTが上昇したのでしたら、たいてい直近に何か原因があります。

もし原因がわかれば、必ず獣医師に伝えてください。

より適切な治療を受けることができます。

 

 

薬剤性肝障害

薬の副作用による肝障害のことです。

薬物治療が原因で肝臓が障害を受けるとき、GOTが一気に100U/Lを超えることがあります。

 

肝障害の副作用が知られている薬はもちろんですが、比較的安全だと思われている薬でも起こる可能性があります。

初めて与えた薬の副作用の場合もありますし、何度か与えたことのある薬で発生することもあります。

 

なかには抗がん剤など、確実にGOTが上昇するとわかっている薬もあります。

犬や猫の個体差や、そのときの体調、他の薬との相互作用まで考えると、薬を与えている限りはいつでも起こりえることです。

人の風邪薬や鎮痛剤を誤飲して発生するケースもありますので、保管にお気をつけ下さい。

 

 

化学薬品による薬剤性肝障害

有害物質の誤飲がしばしば肝臓障害を発生させます。

農薬や殺虫剤などの毒性の強い化学薬品は、量にもよりますが肝臓を一気に破壊して急性肝炎、急性肝不全を引き起こす可能性があります。

 

洗剤や漂白剤、肥料、重金属が原因になることもあります。

家の中にはたくさんの化学薬品があります。

 

私たちはけして口にしてはいけないと知っていても、犬猫たちにはわかりません。

特に留守中にいたずらすることがないよう、保管には十分注意してください。

 

相談を聞いているとアスファルトを舐める犬がけっこういることがわかりました。

アスファルトはかなりの有害物質ですのですぐに対処しましょう。

アスファルトを舐めるときの原因と対策

 

肝臓がん

小さな肝臓がんではあまりGPTの変化は見られませんが、大きくなり肝臓を侵し始めるとGPTが異常に高くなることがあります。

肝臓がんについては、一般的な肝臓病の治療とは大きく異なります。

肝臓がんについての解説

 

犬伝染性肝炎

犬伝染性肝炎というアデノウイルスによって引き起こされる肝炎があります。

成犬ではあまり見かける病気ではありませんが、子犬に発症すると肝臓が急速に破壊されることがあります。

 

 

胆のう、胆管の病気

胆のうや胆管に発生する病気は、しばしばGPTを上昇させます。

具体的には、胆のう炎、胆石、胆泥症、胆のうがん、胆管がんといった病気です。

胆管が塞がれて胆汁が逆流し始めると、GPTはどんどん高くなってきます。

 

 

猫伝染性腹膜炎(FIP)

FIPウイルスにより引き起こされる猫の病気です。

命に関わる危険な病気で、短期間の内にいくつもの検査値が異常となります。

GPTも上昇します。

 

 

事故による打撲

事故などで腹部を打ちつけたとき、肝臓が傷ついてしまうことがあります。

そのようなときにもGPTが一時的に高くなることがあります。

 

怪我は心配ですが、肝臓の傷は自己修復力により癒えてきます。

それとともにGPTも下がってくるでしょう。

 

GPTが高いときに、どうするべきか

GPTが高いからと言って、必ずしも健康や命にかかわるわけではありません。

ですのであまり心配になりすぎないでほしいと思います。

とは言いましてもGPTが高いということは肝臓がダメージを受けていることを示しています。

油断しすぎず、対策を講じましょう。

対策をする場合は、早めの対策ほど功を奏しやすいと言えます。

薬を飲んでいるけれど改善しないという状況が何ヶ月も続いているとき、新たな手を打っていったほうが良いと思われます。

 

GPTの異常を放置したときのよくないシナリオ

肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれており、病気が進行してもなかなか症状を現しません。

逆に言えば、症状が出てきたときの肝臓は相当に深刻な状況になっています。

初期の肝炎も、放置していると徐々に重症化してしまうことがあり、脂肪肝や肝硬変に移行していくことも考えられます。

GPTのみならず、ビリルビン(T-BILL)やアンモニア(NH4)までもが上昇してきてしまうと、とたんに元気や食欲が喪失してきます。

そうなってからの治療は厳しく、場合によっては打つ手がなくなってしまうこともあるのです。

 

肝臓を改善させるためのコツ

肝臓が悲鳴をあげる前に、その状況を教えてくれるのがGPTという数値です。

早い段階での治療は反応しやすいですから、GPTの数値をバロメーターにして肝臓の状態を把握してあげましょう。

なお肝臓の不調の原因は、たいていは1つきりではありません。

ほとんどのケースで複数の要因が複雑に絡み合っていると考えたほうが良く、対処法も1つだけでは足りないでしょう。

実際に薬だけに頼ったときなかなか結果が伴いにくいのは、このような理由があるためです。

 

つまり肝臓を改善させるときのコツは、複数の取り組みを同時に実施することです。

薬を使うのは構いませんが、それだけでは弱いと考えて、食事や日常生活の工夫も始めて欲しいと思います。

良い組み合わせは、単なる足し算ではなく、それぞれが相乗的にメリットを引き出すでしょう。

 

薬はあまり効かない?

GPT(ALT)が高いときには、いくつかの肝臓治療薬が用いられます。

また胆汁の流れを良くするとされるとして利胆剤(ウルソデオキシコール酸など)や、スパカールなどといった薬剤も併用されることがあります。

 

ただそれらが犬猫のGPT(ALT)の改善に対して良く効いているかというと、あまり効かない、効き目はかなり弱いという印象です。

これは私だけの経験ではなく、多くの獣医師が実感しているところでしょう。

ですが、これらの薬は副作用が少なく、安全性が高いことから、続けていてもあまり心配はないでしょう。

薬だけに頼らないアイデアや工夫

薬だけに頼らずにGPT(ALT)を改善させている犬猫は、実はけっこういます。

食事を工夫してみたり、良質なサプリメントを加えてから良くなっている犬猫たちの症例を、飼い主様からよく聞かせてもらっています。

私たちメディネクスでは、高品質プラセンタを奨めております。

 

食事についての基礎的な考え方

GPTの改善を考えるとき、食事や日常生活の工夫は大切です。

ご愛犬ご愛猫を健康にしていくという本質的な考え方において、対処療法にすぎない薬に頼ってしまうことは、遠回りになることもあります。

そもそも薬を分解代謝する臓器である肝臓を、薬のみで健康にしようとすることは難しいと言わざるを得ません。

また肝臓が消化やエネルギー代謝における重要な臓器であることを考えれば、食事の影響を大きく受けるのは当然とも言えるでしょう。

 

治療において食事の工夫は重要であることに間違いありません。

ただし個々の食生活が異なるために、工夫も個々のものになってきます。

そういったことをふまえて、次のようなことをチェックするようにしてみましょう。

  • 保存料や添加物を多く取りすぎていないか
  • 腸内環境を意識したものになっているか
  • 悪い油と良い油のバランスを崩していないか

これらは肝臓の負担を減らそうと考えるときにチェックしてあげてほしいポイントです。

 

肝臓サポート食については、初期の軽い肝炎から与えることには疑問があります。

タンパク質を制限するのは肝性脳症などの恐れがある肝硬変など、肝臓病の末期に適しています。

タイミングを誤ると肝臓の健康を妨げることがあるので注意しましょう。

もちろん予防に使うこともNGと言えます。

 

食事では70点くらいで良いということも頭に入れてほしいと思います。

なぜならば完璧な100点を狙いすぎてしまうと、たとえば食事の美味しさ、生活の楽しみなど、本当に大切な部分を見失いがちだからです。

さらに言えば、そういった犬猫たちを喜ばせること自体が治療にプラスになると私は日々実感しています。

無理な方法は長続きしないだけでなく、治療がうまくいかないパターンに陥ってしまうと思います。

 

まずはトッピングというアイデアを取り入れてみると良いでしょう。

これは今までのフードは急に変えず、その子にプラスになると考えられる食材を加えていく工夫です。

完全手作り食に移行しても良いのですが、最初の一歩としてトッピングを利用した「半手作り食」から開始してみると良いと思います。

 

肝臓の再生能力(自己修復能力)に着目する

肝臓は自己修復できる再生能力を持った臓器です。

できれば再生能力を高めるような工夫も同時に実行していくと効果的です。

 

薬の中でプラセンタ注射は肝臓の再生を促すと考えられる医薬品であり、特に他の肝臓治療薬が効いていないときには試してみる価値があると考えます。

使用している知り合いの先生方からは、プラセンタ注射の反応はなかなか良いものであるとお聞きしていますので、もしご近所に導入している動物病院がありましたら、相談してみることをおすすめいたします。

 

プラセンタを配合する健康製品も、品質の高いもの(SPFブタ100%使用など)ならば肝臓の健康維持・管理に期待できます。

どうしても通院の必要になるプラセンタ注射に併せて、自宅で与えられるプラセンタ粒を推奨している先生方もいらっしゃいます。

他の肝臓薬と併せるケースや、プラセンタだけを使っていくケースもあります。

健康成分の研究

弊社ではペットを病気から守る健康成分を研究しています。

こちらでは肝臓の代表的な検査値であるALT(GPT)とALPについて、動物病院から提供していただいたデータを基にグラフ化しております。

詳しい解説はこちらのページから

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